循環器系の発達:
小-6
小児のバイタルサイン測定:
小-24
検査・処置・手術を受ける小児の看護:
小-30
あれ? ずいぶん早かったわね.
えーん,できないの〜!
Eくん泣いちゃって全然言うこときいてくれないんだもん…….
もう……あなたまで泣いちゃってどうするの.
Eくんはいくつ?
なにをしようとしたの?
Eくんは3歳の男の子よ.
血圧を測ろうとしたらものすごい勢いで泣き出したの.
それでどうしたの?
「お母さん,押さえてください」って頼んで,お母さんと一緒にがんばったんだけど,もう暴れちゃって…….
子どものバイタルサインの測定は難しいわね.
小児はバイタルサインの測定時に 啼 泣 すると,正確な値が測れない!
じゃあ,どうすればいいの〜!?
まずは安静にして,落ち着いたら再度測定
それから,バイタルサインを測る順番は考えてみた?
順番……?
ほら,今みたいにからだに直接触れて測定すると泣いてしまうことがあるから,なるべく侵襲の少ないものから測るといいわ.
そうすると……
呼吸数 → 心拍数 → 体温 → 血圧,の順?
いいわね.聴診器を使うときは,事前に温めておいてね.
わかったわ.これでバッチリよ!
Eくんのところに行ってきます.
ちょっと待って.Eくんが泣いてしまった理由はほかにもあるかもしれないわ.
ほかにも……? なんだろう?
子どもたちは入院すると,採血や検査など痛いことや怖いことをたくさんされるでしょう.
だからスタッフを見るとまたなにか痛いことをされるんじゃないかって思ってしまうこともあるのよ.
あ,そうか…….
だから説明が大切なのよ.
プレパレーション?
なんのためにその処置や検査をするのか,どのくらいの時間がかかるのか,
これからなにをされるのかがわかれば,こころの準備ができて,処置や検査を前向きにとらえてがんばれるかもね!
そのとおりね.プレパレーションでは,処置や検査に対する思いを表出してもらったり,子ども自身に
病気の説明をする際は,専門用語を使わずに,子どもにも理解できる言葉で言い表すようにしましょう.気休めに事実と違うことを告げたり,誤解を招くような表現を使ったりしないように気をつけましょう.また,子どもが主体的に診療に臨めるように,絵本や人形などさまざまなツールを用いたプレパレーションを行うことも大切です.
なるほど!
たとえば,「ほーら,シュポシュポしてみよう」って血圧計を実際に触らせてみると,子どもたちも血圧測定が怖いものだと思わなくなるわ.
それから,終わったら,がんばったことをたくさんほめてあげましょう.
主体的に検査に臨めるようなはたらきかけが大切よ.
① 怖くないと思えるように工夫する.
② 手早く行い,終わったあとはほめる.
わかったわ!
ところで,子どもの血圧は大人に比べて高い? 低い?
えっと……子どものほうが脈が速いから,血圧も高いんじゃない?
ハズレ.子どものほうが心臓が小さくて,心臓の筋肉の壁も薄くてポンプとしてのはたらきが弱いの.
だから
そうか! だから回数を多く打ってがんばってるんだね.
血圧は年齢が低いほど低くなり,脈圧も小さくなります.これは,心臓の拍動力が弱く血管の柔軟性も高いためです.心拍数は啼泣や哺乳,呼吸などによって変動しやすく,年齢が低いほど多くなります.これは組織の酸素需要量が多いにもかかわらず,心臓の1回拍出量が少ないためです.
それから,血圧を正確に測るために,
それと,子どもの体温の特徴は覚えてる?
たしか,子どもの体温は成人よりも高めなんだよね.
だけど,
小児の体温は,36.5〜37.5℃です.また,体重に比べて体表面積が大きい,代謝が盛ん,皮下組織・筋肉が薄い,汗腺の発育が不十分などの理由により環境からの影響を受けやすくなります.最も環境の影響を受けずに正確な値が得られるのは直腸検温といえます.
わかったわ.
今度はスムーズにできるといいな.
緊張は子どもたちにすぐ伝わるから,リラックス,リラックス.
いってらっしゃい.